にしやん

スタートアップ・ガールズのにしやんのレビュー・感想・評価

スタートアップ・ガールズ(2019年製作の映画)
2.8
何もかんも正反対な二人の女性がタッグを組んで、起業へと突き進む姿を描いたビジネス青春映画やな。

映画の冒頭、リアルなドキュメンタリー風インタビューをオムニバスに繋いでたりして、これから起業を目指してる人等を応援してますとみたいなワクワク感があってんけど、主人公の二人が登場して新しい事業を次々と思いついては実行を繰り返す段になってからは、新規のビジネスモデルの触り程度の構想を示すだけで、具体的な事業計画の内容についての提示はあれへんかったわ。映画の中で出てきたビジネスモデルは3つあったけど、ビジネスのフレームの説明はちゃんしてて理解はできたけど、そこからの掘り下げはあれへん。資金調達やら目標利益やらスケジュール等の具体性についての情報は全く無く、大学生起業家のぶっ飛んだ行動を中心に話は展開していくわ。

プロットはいたって単純で、自由奔放な大学生で天才肌の起業家役の上白石萌音と、大企業勤務で起業家に投資する業務を担当している平凡なOL役の山崎紘奈、何もかも正反対の2人が嫌々ながらもコンビを組んで新規事業を実現させようとする所謂バディもんや。役柄の性格は真逆なんはまあ当然として、女優2人の身長にエライ差があって、絵面としての凸凹コンビ振りはまあまあ楽しかったかな。それとどっちかがどっちかに感化されて引っ張られてまうというようなことにはならへんと、それぞれ自分には無いもんを持ってる相手に対して憧れやらコンプレックスがあって、お互いに苦手なとこを補完しながら成長していくところにも好感が持てたわ。上白石萌音の今までとは全く違たキャラクターにもちょっと驚かされたかな。でもまあ彼女は何やらしても巧いことしとうな。

せやけど、この手のバディもんはコンビの掛け合いで引っ張っていかなあかんと思うねんけど、掛け合いのパターンがワンパターンすぎるわ。全体として「上白石な突飛な行動に、山崎が困る、反発する」ちゅうパターンしか引き出しないもんやから、途中からはちょっとマンネリ気味やったかな。前述のワンパターンにプラス居酒屋で喧嘩やカラオケの繰り返しじゃ、ちょっと芸がないわ。二人のキャリアを考えたらもうちょっとちゃうパターンがあっても良かったんとちゃうかな。終盤徐々に二人がお互いを認め合うという展開になっていってんねんけど、掛け合いのワンパターンのせいもあってか、二人の変化が感じ取れる描写が薄すぎるわ。

それと上白石のほうのキャラクターの背景が全く語られてへんから謎が大多すぎてそこもちょっと気になったわ。全然生活能力なさそうやのにこれまでどないして生きてきたんやろ?彼女をそこまで動かすんは何や?医療とか福祉に拘る理由は何?大学生やのに何でタワマン住めるん?裏切られる事に対するになんでそこまで恐怖するん?この辺のキャラクターの説明は全く足らんのとちゃうか。

新規ビジネスの掘り下げがあれへんのと、二人の掛け合いのパターンの無さが何とかなってたら、もうちょっと良かったんとちゃう。凸凹コンビのキャスティングと、起業っちゅうモチーフ自体は悪ないだけに、ちょっと残念やったかな。
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