くぅー

迫り来る嵐のくぅーのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
4.0
my映画館2019#24> たまに無性に見たくなる中国作品・・・しかもあの『殺人の追憶』を引き合いに出していて、興味津々でスクリーンを見始める。

地方の大きい工場で、名探偵と称賛されてる男が、近所で起きた連続猟奇殺人事件に首を突っ込み、工場内に犯人が居ると目星を付け、ある人物を確保寸前で取り逃がす・・・が、ついには恋人を囮にする大胆な作戦に出てしまう展開。

そう、描かれるのは、名誉への異様な執着でしょうね・・・犯人逮捕の大義名分の下、警察まがいの行動をしつつも犠牲者を出し、恋人の心を踏みにじり、執着が狂気に変わり、殺人犯と大して変わらない愚かさが浮き彫りにされる。

そして、本作は時代背景もポイントで、1997年って設定が混沌とした中国の変わり目だったし・・・10年後が描かれた時、ある衝撃的な事実が語られるのだが、時代に取り残された様な主人公を痛々しく見せる。

さらには、ひたすらに続く雨のシーンが主人公の心と行く末を暗示してるかの様で・・・とにもかくにも明確な解決は無いヘビーな作品なので、過度な期待はなさらず。

にしても、かなりディープなノワールの余韻には浸れましたね・・・一目置きたくなるドン・ユエ監督の手腕に、ドアン・イーホンの熱演に拍手。
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