Solaris8

泉の少女ナーメのSolaris8のレビュー・感想・評価

泉の少女ナーメ(2017年製作の映画)
4.0
10/29 東京国際映画祭で「泉の少女ナーメ」を観た。ジョージア(旧ソ連のグルジア)の山岳地帯で村に伝わる癒しの泉を守る父と娘の話で、三人の息子たちは独立し、父は泉の管理人の跡継ぎを娘のナーメに託そうとする。

ナーメは跡を継ぐかどうか迷うが、霧が深くなった湖に泉の魚を放ち、その呪縛から解き放たれる。

映画上映後に監督の舞台挨拶が在ったが、ジョージアという国は黒海に面した国で、物語は聖書の世界から引用した寓話で、魚を湖や海に解き放つ事で自分自身も解き放たれるような神話が在るそうで、草原に馬を放つとか、鳥かごの鳥を解き放つような意味かもしれない。

監督は映画のスクリプトを言葉ではなく映像で表現する事を大事にしていると云う話だった。言葉が少なく映像で語る場面が多い分、映画の解釈は観客に委ねられる感じがしたが、同じジョージアの映画「とうもろこしの島」に雰囲気が似ている。

撮影は南ジョージアのアジャラで撮ったそうで、グルジア正教徒、イスラム教徒が仲良く暮らす場所だと云う。三人の息子の各々の宗教が違うという人物設定にも活かされている。

南ジョージアの山岳地域の厳しくも静かな自然の佇まいと聖書の世界を再現するように慎ましく暮らす質素な人々が印象に残る。