改名した三島こねこ

怪怪怪怪物!の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)
3.4
御唱和ください。

「阿〜弥〜陀〜如〜来〜〜〜!!!」

"怪物よりも人間が恐ろしい"というのはサイコスリラー映画のそもそものテーマではある。しかしその言葉通りの物語をここまでおもしろく作れるのはやはり脚本の妙だろう。

性善説性悪説の話は感想を語り合えばまず出てくるだろうからここではひとつ置いておく。ならばなにを語るかといえばケント・ツァイのかっこよさだろう。

本作が単なる胸糞映画に陥らず最後まで視聴できたのは、人間の暗部を覗くスコープである彼がどうにも魅力的だからだ。やっていることや言っていることは間違いなく人間のクズなのだが、二時間に渡ってだんだんと主人公と同陣営のように描くことで彼にカリスマのようなものさえ感じてしまう。

悪役であるいじめっ子側にすこしでも魅力を感じてしまったらその時点で観客は作品の前に膝をついている。人間の方が恐ろしいのではない。怪物も人間も恐ろしいのだ。そして悪とは性根などの問題ではなく、環境的な要因がかなり大きいことを感じずにはいられなくなる。

主人公のリンが善人にも悪人にもなりきれなかったのは、風見鶏的な彼の態度が環境を不安定にしていたというのも確かだが。

なんにせよケント・ツァイのあのガチガチにセットした不良姿のかっこよさは否定できないですね。大盛りのスイカジュースを差入れしたくなります。アップで彼の顔を拝みながら薬師如来〜〜〜!