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ハウス・オブ・トゥモローのSPNminacoのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・トゥモロー(2017年製作の映画)
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バックミンスター・フラー思想の祖母に「未来の館」で育てられたセバスチャン、重病を抱えてノー・フューチャーなジャレット。2人はパンクを通じて未来を選ぶ。
教会牧師の父に反抗的なジャレットだが、セバスチャンに初めてパンクを聴かせ、ベースを与えるのは洗礼の儀式だ。チーズトーストが聖なるパン。おかげでセバスチャンはそれまで信じてきた師の教えから、パンクに改宗するのだった。
けどパンクバンドといっても、映画は大人しめで優しげなトーンだ。ジャームズとか流れるけど、音楽はあまり中心じゃない。青春、難病、家族、友情…と多くの要素を盛り込んだせいで、熱く突っ走るスピード感もなかった。ジャレットの過保護な父ニック・オファーマンも祖母エレン・バースティンもそれほど抑圧的じゃなく、むしろ非力な存在なので、つい大人側の視点に立ってしまう。
ヒョロヒョロほっそいエイサ・バターフィールド(こういう浮世離れした役が似合いすぎ&巧すぎ)と、見た目ワイルドなアレックス・ウルフもナイーヴに物悲しい演技。モヒカン豹変するエイサくんが良かったけど、せっかく見せ場となるギグは不完全燃焼(そこでしんみり水を差さなくても…)。そこに至るまでパンクに感化される過程がもっと観たかった。
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