矢吹健を称える会

ファイティング・ファミリーの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

3.0
 フローレンス・ピューが絶妙。○○○○になって登場するシーンの醜さがたまらない。世の中に流通しているフローレンス・ピュ―のイメージはどちらかというとこっちのはずなのに――そこまでの描写が成功しているからこそ、ここでとんでもなく醜く見えるのだろう。また他の女性挑戦者たちの描き方もハッとさせられて良い。

 しかしレスリング……なんとも不思議なスポーツ/ショウだと思う。勝敗とか「トーナメント優勝」とか、何を基準に決まるんだろうか。劇中では「実際に当てちゃだめ」と言っているので余計に困惑する。
 そして本作、その困惑が最後までついてまわる。つまり、フローレンス・ピューがラストに至っていったい何を成し遂げたのか、何をもって「勝った」のか、これでは説得力に欠けると思うのだ。ヴィンス・ヴォーンによって選抜されるくだりや、〇〇〇〇の件は(K-DUB流に言えば「自分が自分であることを誇る」的な)主題としてそれなりに奏功しているのに、物語が徐々に「プロレスラーとして成功」のにシフトしていくと、じゃあ、その成功を決めるのは何なんだという疑問が、視界にうっすらシミみたいに浮かび上がってきてしまう。このへんになってくると、前述した女性挑戦者たちのエピソードすら、ノイズに感じられてきてしまう。彼女たちだって頑張ってたじゃん。個人的には、本作の描写では、フローレンス・ピューが他の挑戦者を圧倒する「何か」を感じ取れなかった。

 見終わってから監督のスティーヴン・マーチャントについて調べたら、なんと劇中にジャック・ロウデンの恋人の父親役として出演している人だった。「この役者さん、『ウェディング・テーブル』で強烈な役を演じていたよなあ」と思いながら見ていたので、びっくり。とにかく多彩な人だが、この映画を作るまではプロレスのことをよく知らなかったらしい。

 ところで、話は変わるのだが……(以下はコメント欄に書く)