このレビューはネタバレを含みます
インタビューで三木監督が狂い咲きサンダーロードを意識したっておっしゃってましたが、別に狂い咲きはあんなにカメラグラグラしてないし、カッティングはもっとセンスあるし、照明の感じは似てるけどあんな乱用しないし、何より俳優の演技やセリフの言い回しの格好良さは段違いだし、
何を言いたいかというと安易に意識したとか言ってはいけないレベルの傑作だということです。
この映画もある意味記憶に残る1本ではあったけども。
ワザと突っ込みどころにしてる部分とガチの突っ込みどころも合わせてずっと頭クラクラしてました。
ただ吉岡里帆はとにかく可愛かった。声小さいバージョンもだんだんと元気になってきたバージョンも韓国語喋ってる時もただただ可愛かった。
表情も豊かだしワザとらしい動作も似合うからもっとコメディエンヌやって欲しい。
それ以外の要素に関してはただダメというより実験精神に溢れすぎて成功してる部分もあれば失敗してる部分もある。
まず終始動き回るカメラワークとカッティングの速さで
人によっては気分悪くなってしまうはず。
照明は面白かった。やたら赤やら緑やら超現実的な空間演出だったけど、途中からあんまなくなってしまったのはなぜ笑
声帯ドーピングのトリップ演出も割と斬新だし、千葉雄大のゲス演技は面白い。
ただ肝心のギャグが全体的に滑ってたかな。会話の内容より照明やカメラワークの変さで笑ってた方が多かったと思う。
阿部サダヲはさすが。声の使い分けが超上手い。怒鳴りも上手いし
、さりげない声やアベマリア歌う時の声の色気が凄かった。
後、終盤の不思議なキスシーン。
結局恋愛にいっちゃうのかよ!って思ったけど、あれは声と魂の継承を意味してたのかな。車と並走しながらキスってのは斬新ですな。
でもあの前から吉岡里帆割と普通の声量に戻ってる感あったけどね。
ちなみに
ポスターの
「この声にやられる!」ってコピーですがそんなに歌うシーンもないし、シンが本領発揮して歌うのも序盤だけで、ふうかが売れっ子になって歌うシーンも普通に上手いけどそんな響くものもなく。
逃げずにちゃんと役者に歌わせたのは偉いけど劇中の音楽に過剰な役割を担わせるのは限界があるよね。
ラストの無音状態のシンのつぶやきから終わるって演出は好きでした。
あれ?割と俺好評じゃね?でもよく出来た映画とはお世辞にも言えません。