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マーシャ・P・ジョンソンの生と死のahのレビュー・感想・評価

3.9
1992年7月6日NY、ビレッジ、ハドソン河で遺体となって発見されたマーシャ。
マーシャの死から25年、真相を追い続ける活動家ビクトリア・クルスの視点を通して、浮き彫りになるトランス差別やLGBTQ差別、黒人ヘイト。

マーシャの笑顔は素敵だ。世界と自分を信じているような、人を安心させる温かい笑み。何とも魅力的な微笑み。

マーシャと同時代を生きたもう1人のカリスマ、シルビアの生き様も同時に描かれ、強い印象を残す。
マーシャの死後、「私の中の一部も死んだ」との言を残しホームレスに。拠点からの立ち退きを迫られシェルターの方が危険だと主張する。確かにトランスの人々にとってホームレスシェルターは身の危険を覚えるだろう。「マーシャ、私達は頑張ったわ」と呼びかけるシルビアの横顔は胸を刺す。

その後1996年にコミュニティハウスへ入居し活動家としての姿を取り戻すシルビア。彼女はトランスpeopleのスターでありカリスマだ。

マーシャ、シルビア、ビクトリア、彼女たちの背負う苦しみ、悲しみ、やり切れなさ、それでも自分自身であろうと闘い続けようとする魂の存在に触れ、かつて子どもながらに「ゲイ、ホモ、オカマ、変態」などと言う言葉を自覚なく使い、彼ら、彼女らを貶めた事のある側の自分を恥じいった。
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