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野球少女のahのレビュー・感想・評価

野球少女(2019年製作の映画)
4.0
チュ・スイン、彼女の澄んだ強い眼差しが見つめる「未来」は希望に溢れたものだと信じたい。彼女のことを応援したい、その気持ちを届けたい、
心からそう願わずにはいられない主人公を演じたイ・ジュヨンが素晴らしい。

母親には諦めることは恥ずかしいことではないと言われ、監督には趣味で野球を続けたらと言われる。それでもめげずにトライアウトを受けに行くと書類選考がある、と門前払いされる。そんな過酷な状況でもスインは諦めるどころか更なるひたむきさでトレーニングに打ち込んでいく。

トライアウトのシーンは、特に胸が熱くなる展開で周りの客席からも鼻をすする音が…私もこれは泣けた。

チュ・スイン役のイ・ジュヨンはスタントなしで全ての野球シーンやトレーニングシーンを自分で演じたという。
だからこそ彼女の細身の身体から放たれる球はリアリティがあり、胸に迫ってくる迫力があるのではないだろうか。
イ・ジュヨンがトランスジェンダー役で出演しているという「梨泰院クラス」もがぜん気になってくる本作での演技の素晴らしさ。
本作のチェ・ユンテ監督は本作が長編デビュー作という。
さらっとこんな名作を放ってくる韓国映画界の層の厚さよ。作り手も役者も芳醇な映画環境が羨ましい。
これからもますます韓国映画から目を離せない。
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