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ホース・ソルジャーの一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ニコライ・フルシー監督作。

アメリカ同時多発テロ発生直後のアフガニスタンを舞台に、アメリカから派遣された陸軍特殊部隊と現地タリバン勢力の闘いを描いたアクション。

ダグ・スタントンのノンフィクション「Horse Soldiers」を本作が初監督となる新鋭:ニコライ・フルシーが映像化した手に汗握るミリタリーアクションで、主演のクリス・ヘムズワースを始めマイケル・シャノン、マイケル・ペーニャと屈強な男たちによる共闘&絆が激熱な作品に仕上がっています。

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロに対するアメリカの最初の反撃として、アルカイダとタリバンによる支配が盤石だったアフガニスタン北部に派遣された12名の陸軍特殊部隊が、反タリバン勢力の軍閥と連携しながらタリバンが実効支配する重要拠点:マザーリシャリーフを奪還すべく闘った23日間を事実に基づいた迫真性をもって活写しています。

「9.11直後、敵勢5万人に対し、たった12人で戦いに挑んだ米軍騎馬隊。」との触れ込みだった本作ですが、現実的に考えてそれは無理な話です。本作に登場する主人公:ミッチ・ネルソン大尉率いる12名の特殊部隊は、精確な航空支援(爆撃)を実行するための位置情報の発信と、現地で接触・同行するドスタム将軍率いる反タリバン軍閥:北部同盟軍の後方援護を主な任務としています。特殊部隊の指示によって戦略爆撃機が多数のタリバン兵を一掃、北部同盟軍が爆撃で殺しきれなかった残兵を相手に戦闘を仕掛けるのが定型パターンで、特殊部隊は北部同盟軍の背後に控えて援護するという比較的安全な位置からの戦闘参加を基本としています。「米軍騎馬隊」というのも正確には間違いです。主人公ら特殊部隊は現地の馬を使う以外に山岳地帯での移動手段がなかったわけで、元々彼らは騎馬隊としての特別な訓練を受けたことのない“馬初心者”です。それでも少しだけ馬を齧ったことのあるネルソン大尉が助言し一応はみんな馬を乗りこなせるようになります(しかも映画の後半には“騎乗射撃”という上級テクニックまで披露)。

位置情報の発信と後方援護が特殊部隊の基本任務ですが、そればっかりだと盛り上がらないので物語の進展に伴い北部同盟軍と共に最前線に立って激闘を展開します。それこそ火薬量&臨場感最大級のクライマックスの“ドンパチ”は見応え百点満点で、国籍や宗教の違いを超越した共闘と仲間同士の信頼と絆が激熱であります。
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