このレビューはネタバレを含みます
タイトルから東京サンシャインボーイズの「ショー・マスト・ゴー・オン」を連想していたら、パンフレットにズバリその事を書いてあったので、矢張りなと納得しきり。
ただ、「ショー・マスト・ゴー・オン」と「カメラを止めるな!」が違うのは、前者が『マクベス』という演劇ファンなら殆どが本筋を知っている演目での舞台裏を描いているところ。
これだと、舞台で演じられている芝居を実際に見せなくても、観客は想像で補完してくれるのでひたすら舞台裏の出来事のみを描けばいい。
翻って「カメラを止めるな!」の方は、先ず映画本編を全て見せ切って、それからその舞台裏を描くという構成になっている。
この構成の弱点は、前半部分が後半の為の単なる退屈なネタ振りになってしまう危険性がある処で、恐らくは監督もその点を危惧していたに違いない。
そこでの秘策が、「37分間ワンカット長回し」(しかも、パンフレットを読むと"長回し風"では無く本当にワンカットで撮っているとの事)。これによって、本編部分がチープながら疾走感に満ちたゾンビ映画として見事にドライブしている。
そういう点では、この映画の成功の要因はパズルをピタリとはめ込んでいく後半の緻密さよりも、前半の本編部分を成立させた無謀なる挑戦にこそある。