にしやん

ドント・ウォーリーのにしやんのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
3.5
2014年亡くなった名優ロビン・ウィリアムズが映画化を熱望、彼の死後ガス・ヴァン・サント監督がその遺志を継いで、自分で脚本も書いて、構想から約20年を費やして作った作品で、アメリカオレゴン州ポートランドの風刺漫画家ジョン・キャラハンの自伝を映画化したもんや。
交通事故が原因で、胸から下の麻痺してしまい車いす生活になるねんけど、映画観る前はこの「身体障害」を乗り越えて風刺漫画家として大成しましたチャンチャンかなと思たら、違とったわ。これにはちょっと肩透かしやったな。乗り越えなあかんのは「身体障害」は当然で、根本的な問題は「アル中」やったわ。これはわしかてちょっと身につまされたな。わし「アル中」ではないと思うけど、殆ど毎日晩酌してるからな。「禁酒○日です」みたいな話しはちょっと耳が痛かったわ。
映画としは物足らんとこもあったかな。特に前半が退屈や。後半からじわじわいい話になっていく展開やな。前半のカット割が何かちょっと気にいらんかった。主人公が喋ってる途中で他のシーンが差し込まれ来たりして、時間が行ったり来たりするんもどうなんやろな。主人公が何でこんな障害を負うことになったんかをシンプルに描かず、なんかもったいぶって回りくどく描いとったな。もっと素直に時系列で話を展開したほうが分かりやすかっんちゃうかな。ちょっと勿体無い感じしたな。監督が何したかったんかはよう分からんけど、映画の締まりがなくなってしもたんとちゃうかな。人物を伝記的に描くよりも、誰にでも共通する人間の弱さとか、酒に溺れたり、自分の不幸を嘆くだけの弱さとかから、人が立ち直っていくとこにスポットを当てたかったんかもしれんな。
事故後に主人公が病院で障害者サポートのボランティアの女性と出会うやけど、この出会いのシーンは良かったな。ユニークな登場の仕方やし、運命的な印象もしたな。ショートカットの髪型もめっちゃ決まってて良かったわ。
最後のほうの「人を許し、そして自分をも許しなさい」を実行する辺りから、話しがやっとこさっとこ動き出した印象やったな。ここくらいからやっと話としてじわじわとおもろなってきたなっちゅう感じやった。何で主人公が風刺画を描くようになったんかもいまいち語られてへんかったさかい余計や。
悲壮感を極力排し、ベタなお涙頂戴にもせえへんかったとこは充分分かるねんけど、何かちょっとスピリチュアルで説教臭いとこはどうなんやろな?せっかく主人公が風刺漫画家なんやから、もっと毒の効いたブラックコメディにしても良かったんとちゃうかなっちゅうんがわしの個人的な感想や。
にしやん

にしやん