『マン・オン・ザ・ムーン』撮影時の、ジム・キャリーの奇行・狂気が映し出される。でも身も蓋もないこと言うと「常時カメラ回ってんじゃん」と思った。つまり「役に入り込むあまり、映画撮影中以外の時間もアンディ・カウフマンになりきってしまうジム・キャリー」という役を、カメラの前で演じているだけにしか見えない。
そのことに制作者側が自覚的なのかどうかいまいちわからないが、冷静で醒めた「現在のジム・キャリー」本人が当時を回想するという形式によって、わりとスリルが削がれているように思う。「現在のジム・キャリー」の穏当さ、冷静さ、そしてだらだら述べることの退屈さに、これが映画のテーマでいいんだろうかと当惑してしまった。それとも、これもアンディ・カウフマン流のジョークなんだろうか。
90分かけて、結局は「ジム・キャリーは優秀な役者です」と説得されるだけというのは……ファンなら面白いんだろうけど。