にしやん

こどもしょくどうのにしやんのレビュー・感想・評価

こどもしょくどう(2017年製作の映画)
4.0
17歳以下の子どもを対象とした「子どもの貧困率」は2015年で約14%、7人に1人の子どもが貧困に陥ってて、ひとり親世帯の貧困率は50%を超えてるらしい。日本の貧困率の高さは国際的に見ると、アメリカに次いでG7中ワースト2位でひとり親世帯ではOECD加盟国35カ国中ワースト1位や。子どもの貧困問題っちゅうはこの国の抱える、ある意味最大の問題かもしれんな。
子どもが貧困にあえぐ原因は、非正規雇用(母子家庭の何と約6割が非正規雇用!)やワーキングプアに陥ってる親の収入の低さ、生活保護等の公的支援の怠慢、親から子へ子から孫へという貧困の連鎖、更には消費税の影響による累進課税の歪み等、様々や。
さて、映画の話しやけど、映画では子どもの目線で子どもの貧困問題を捉えようとしてる。育児放棄の母子家庭の子と父子家庭で車中生活してる姉妹が出てくるんやけど、もう可哀想で観てられへん。特に姉妹のほうは正に悲劇やわ。
主人公の子が食堂営んでる両親に向かって言う一言はこの映画を観てるもん全員に訴えかけとるんや。「見てるだけで何もせえへんとか、見て見ぬふりではあかんのや」と。そや、わしにいったい何がてきるんやろ?ほんまグサッとくんな。
貧困家庭や孤食の子どもに無料か安価で食事を提供する、所謂「子ども食堂」は現在全国に二千カ所以上あるらしい。こうい取り組みをしてはる方々はめっちゃ立派やと思うわ。食べるもんなかったら人間生きていかれへんし、そういう子どもが周りに仰山おって、そんなん見てられへんわっちゅう切羽詰まった状況なんやろな。
せやけど、こういう問題への対処を民間の善意だけに頼ってても、ほんまええんやろか?根本的な解決って必要ないんやろか?政治や行政はいったい何してんのやろか?戦後最長の好景気が聞いてあきれるわ。まあ、カップラーメンの値段も知らんような大臣ではアカンやろな。
格差や貧困が続く限り、この国では今後もこのような貧困映画が作られ続けるんやろ。もう、ほんま悲しさと腹立たしさしかないわ。
にしやん

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