捉えどころの無いタイトル、何の変哲も無い
ジャケ、そして30分という短い時間。
だけど今作には映画としての魅力がギュッと
凝縮されている。極めて私好みの作品だった。
タイムカプセル、手紙、校舎の屋上、海辺、
戯れる儚げな少女達…静かなピアノと共に映
し出される光景にうっとりさせられ郷愁をそ
そられた。全てが美しい。全てがエモい。
これは震災で親友を失った一人の女性の物語。
だけど彼女と同じ様に苦しんでいる人は数えき
れない。突然断ち切られた友情、絆。
「もっと優しくしていれば」「もっと話してい
れば」後悔の念はいつまでも消えることはない。
事故や犯罪に巻き込まれ亡くなったなら加害者
を恨むことで自身を正当化することも出来るだ
ろう。
しかし震災であれば怒りの矛先は自分自身に向
けられてしまうのかもしれない。
失なわれた多くの命の陰で膨大な人達が今なお
辛い日々を送っている。今作はその事実をあり
のままに伝えてくれる。
二人が出会った時の秘話が静かな感動を呼ぶ。
亡くなった友をいつまでも大切に思う気持ち。
これほど尊いものはない。人間って素敵だって
改めて思わされる。
見終わって余韻が凄すぎて繰り返し見てしまっ
た。
出来れば劇場で体感したかった作品です。