とえ

7号室のとえのレビュー・感想・評価

7号室(2017年製作の映画)
3.0
ハラハラドキドキする映画だった。

しかし、ゆるくて甘いなぁと思うところも多々あったのが残念。

ビデオルームを経営する社長のドゥシク(シン・ハギュン)は、経営難のため、店舗を売り払い、人生をやり直そうと考えていた。

バイトのテジュン(D.O.)は、生活苦のため、金と引き換えに麻薬を一時的に預かり、社長に内緒で店の7号室に隠していた
ところが、店で不慮の事故が起き、7号室の扉に釘が打たれ、社長は何が起きたのか語らず、テジュンは隠した麻薬を取り出せなくなり…。

社長もテジュンも、互いに言えない秘密を抱え、その場しのぎでついた嘘が、どんどん事態を悪化させていくというドタバタコメディ。

その背景にあるのは、底辺で生きている貧しい人たちの、悪いことでもしなきゃ行きていけないという生活苦。

社長はキレイとは言えない古びた店を、なんとか表面的に取り繕って購入希望者をだまし、高い金をふっかけとて、売ろうとしてるし、
テジュンは、夢を持ちながらも多額の借金を抱え、しかし、バイト代は未払いのため、金のために、手っ取り早い裏稼業に手を出してしまう。

そのうち、お互いに「うまくやればバレない」と思ってやったことが、裏目、裏目に出てしまう。

そこから、彼らは心臓が飛び出るような思いを何度も経験しながら、真面目に働いて稼ごうと、これまでの考えを改めていく。

そこまでは、良いとして…。
その中で私が引っかかったのは「朝鮮族の新人」に対する扱いだった。

彼は、中国から夢を抱いて韓国にやってきたばかりの移民。
その彼に対する扱いを見ていると「彼に身寄りがなくてラッキー」と思っているように見えてしまう。

しかも、彼は悪さをしていたわけではなく、本当に純粋でいい子だった。

そんな彼に対する扱いが、あまりにも雑だったので、これでは
「韓国人は中国からきた朝鮮族のことなど誰も気にしていない。だから良いんだ」
と言っているように見えてしまう。

そこはナンセンスコメディのつもりかもしれないが、私は笑えなかった。

EXOが出ている映画で、その国際感覚はちょっとないんじゃないかと思ったし、社長が受けるべき報いのようなものも考えて欲しかった。

全体的には、ハラハラドキドキして楽しめる映画だっただけに、残念だった
もう少しがんばって欲しかった
とえ

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