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ルイスと不思議の時計のsomaddesignのレビュー・感想・評価

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)
3.5

イーライ・ロスはやっぱりイーライ・ロスだった😆

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ジョン・ベレアーズによる児童向けホラーファンタジー小説「壁の中の時計」/1973年刊 の映画化。両親を亡くした少年ルイスは、叔父ジョナサンと近所で「呪われた家」と有名な古い洋館で暮らすことになる。夜な夜な起こる怪現象に、ジョナサンはルイスに自身が魔法使いであることを打ち明ける(ただしポンコツ)。ジョナサンの隣人で長年の友人で魔女のツィマーマンとも親交を深めつつ、不思議な家の奇妙な共同生活が始まった。転校先に馴染めないルイスは、友達に魔法の存在を信じさせるため思わず禁忌の書を盗み出し魔法を使ってしまう。
監督は「ホステル」「グリーン・インフェルノ」等ゴア表現・グログロホラーに定評のあるイーライ・ロス。

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原作未読。
あのイーライ・ロスがファミリー向けファンタジー?🙄

過去あれだけ血まみれ・胸糞表現を監督してた人が……
「イングロリアス・バスターズ」でナチ兵の頭をバットでカチ割ってた人が……
「ピラニア3D」で濡れTコンテストの司会者役をノリノリで演じてた人が……

最初聞いたときはユニバーサル・ピクチャーズの正気を疑う勢いだったけど、結果イーライ・ロスの悪ノリサービス精神満載なゴスいホラーファンタジー映画で面白かった!

不思議な屋敷と時計の秘密を探るストーリーの本線とは別に、突然両親を失った少年ルイスの喪失と再生を時計を暗喩に並行して描いてみせる語り口が良かった。TVのスーパーヒーローに憧れて、ずっとおでこにゴーグルつけてるのも「自分らしさ」のメタファーであると同時に、「好きなものに正直でいい」ってイーライ・ロス自身の思いが込められてる気がした。
TV内のスーパーヒーロー役に監督自身がカメオ出演してるのも笑う。出たがりか!

ジャック・ブラックとケイト・ブランシェットの温冷コントラスト凸凹コンビも素晴らしかった。
罵り合いながらもルイスに対する温かい目線や態度になんの躊躇もなくて、誰を救うことで自分もまた救われるのも良かったし、困難に直面して三人の絆が深まり真に家族となって行く王道ファミリー映画に着地しちゃうのもベタで良い。ベタにはベタの力がある。

それでいて、イーライ・ロスらしい悪趣味っちゅーか、怖い/気持ちわるいスレスレの描写が随所に見られて安心するやらサスガっちゅーか🤪
クライマックスのジャック・ブラックのアレは、そこだけオッサンのままっておかしいやろがい!と誰もがツッコミたくなるハズ。
古洋館のゴシックホラーの暗い画面から、「スタンド・バイ・ミー」な少年期のオレンジの日差しまで色彩豊かで、ユーモアと悪ノリが絶妙のバランスで入り混じってて楽しかった!


でも続編は勘弁!

87本目
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