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名探偵コナン ゼロの執行人のninekoのレビュー・感想・評価

1.2
・最新作を観てすっかりはまったという妻がDVDを購入したので、一緒に観た。面白かった。といっても、funnyのほう。

・コナン映画にはありがちだし、もうそこは皆どうでもいいと思ってそうだが、クライムサスペンスとしては粗だらけで、完全に破綻している(というか容疑者が少なすぎて犯人がすぐにわかってしまう)。『踊る大捜査線』の映画シリーズを思い出してしまった。

・そもそも「IoTテロ」って...言いたかっただけ感がすごい。最新作でも「ディープフェイクか!」とかやってるらしいし。広島サミットの直後に観たのはなんだか運命的なタイミングだった。あんなことが起きても開催するんかい!というのはツッコミポイント。

・まんま『君の名は。』のパクリみたいなカットが脈絡なく挟まったなと思ったら、終盤は宇宙から飛来する物体の軌道を何とかして逸らさなきゃという展開になり、まじか!と大笑いしてしまった。ご丁寧に『シン・ゴジラ』ふうの政府対策本部の様子を挿入してみたりと、バズり狙いか知らないがヒット作への下品な目配せが本当に終わってる。まあこれも興収91.8億円を叩き出したわけだが。

・カーアクションは評判どおり馬鹿なことをやっているものの、あんなポリゴンポリゴンしたクオリティの低い3DCGでやられても…なのは否めない。これ、一応国内アニメ映画としては予算ついてる方なんだよね? 全体的に、2018年の作品とは思えないくらいCGがチープで、観ていて恥ずかしくなってくる。爆破のカット(手書き)はなかなか迫力があった。

・有名なセリフ「僕の恋人は…この国さ!」には、いまの日本の公権力のあり方からすると悪い意味で鳥肌が立っちゃう。まあ安室は仕事だから百歩譲っていいとして、少年探偵団に(本人たちはそれと知らないかたちで)事態のカギを握らせ、「この国は君たちにかかってるんだ!」みたいなボイスオーバーを被せるくだりだけは、ちょっと本気で不快になった。勝手に背負わすな。

・とはいえ、最初に書いたように、可笑しいと言う意味で面白かったのは事実で、その点ではここ数年観た映画の中でもずば抜けたものがあった。特に後半はずっとゲラゲラ笑いながら観ていた。コナンファンの妻もひっくり返らんばかりに笑っていたのだが、世のおとなたちはどの程度これをマジになって観ているのだろう。

・色々と書いてきたが、上記すべてを踏まえても一番面白かったのは、エンドロールでかかるテーマソングby福山雅治(駄曲!)の歌い出しが「真実はいつも1つ〜♪」だったこと。そんなことあるのかよ。脱帽。
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