MarySue

アンダルシアの犬のMarySueのレビュー・感想・評価

アンダルシアの犬(1928年製作の映画)
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冒頭の女性の目を切り裂くカミソリ、月を通り過ぎる雲。本来は関連性のないカットの連続ですが、こうも上手く比喩的に使われるとこの作品全体に影響を及ぼしてしまう……

脈略のないカットを組み合わせてシュルレアリスムを表現したこの作品。言うなれば映像群に特に意味はなく、「観客がそれぞれ好き勝手想像して下さい」の芸術系の映画。

その一方で、この映画は冒頭で関連性のないカットを組み合わせて新たな意味、価値を産出するクレショフ効果が使われているとも言える。だから観客は急に時間が飛んでも、手から蟻が出てきても関連があった月と目、雲とカミソリの冒頭のシーンを無意識のうちに思い出し、前後に関連性を求めてしまう。

Wikipediaで今作は「映画の機能を否定した映画」だと書かれていますが、実は1922年に提唱されたクレショフ効果という映画の基礎中の基礎技術を最大限活用した映画です。

しかし、その固定観念から脱し、客観的に作品から何かしらを感じることがシュルレアリスムの本質。一手先を読まれていた。

ただの自己満足芸術映画がここまで名作として語り草になるわけがない。一人で勝手に感動して勝手に盛り上がったので文章がめちゃくちゃですが、半身浴したのとこの満足感で今日はグッスリ寝れそうです。
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