賽の河原

志乃ちゃんは自分の名前が言えないの賽の河原のレビュー・感想・評価

3.4
「なんかいい評判を聞いたような気がする!っていうか知り合いの先生にオススメされた気がする!」っていう謎の理由で観に行きました。
オープニングがPL学園野球部の寮生活オマージュなんですけど、吃音を抱えた主人公の志乃ちゃんのお話。
原作があることも全く分かってなくて、「心が叫びたがってるんだ」みたいな話かな?みたいな漠然としたイメージで観てたら案の定、音楽が好きなのに音痴な加代ちゃんと出会うんですよね。
「おっ、これは表現というものを通してコンプレックスから解放されていく物語かな〜?そういう話、大好物だし主演の2人の演技は素晴らしいし、これはむちゃくちゃ面白い映画なのでは...!」って感じでしたし最高でしたね。
原作があるものなんで何とも言えないんですけど中盤以降は「えっ、そういう話?」「百合映画...なのか...?」って感じにならないでもなかったです。加代ちゃんが「ちゃんと言ってよ!」っていうくだりなんかは「うん、正直俺もそう思うわw」みたいな。インターネッツで後から解釈をいくつか見ましたけど、「そう読めというには序盤から中盤にかけての描きこみが不十分では?」とモヤらないでもなかったですね。菊池くんって男の子の演出もちょっと拙速すぎるような...
全体的に丁寧に作られてると思いますし「いい感じ」なんですけど、例えば「90年代の話にしたいのか現代の話にしたいのか...セリフとかの選択がすっげえノイズ...」とか「確かに音楽は素晴らしいと思うけども、加代ちゃんの部屋の美術からするとそういう音楽を彼女らがするのかな...?」「ラストシーンはいくらなんでも言葉が先行しすぎていてカタルシスがないな...」「吃音の監修とか結構入ってるのにその着地っていうのは、結局本人の問題みたいなニュアンスを感じるんですけどもそれは...」とかね。
原作なのか演出なのか音楽なのか、どれがどこまで...っていうのが分からないんですけど、映画単体で観ると中盤にアガった後は「うーん、なんだかノイズだなぁ」みたいなものが積み重なっちゃって下り坂だったのが残念でしたね。
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