矢吹健を称える会

未来のミライの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
2.6
 前評判の悪さに、前作以上のディザスターだったらどうしようと、半ば恐れ半ば期待しながら観賞したのだが、思いのほか楽しく見ました。犬に変身して家を駆けまわるくだりは(『おおかみこどもの雨と雪』やんけとは思うが)好き。幼少期の母親と出逢うシーンも良い。
 しかし「何これ?」という演出は多々あって、俯瞰から主人公宅にカメラが寄っていく(またはその逆)ショットが何度も繰り返されるのは辟易。女子高生ヴァージョンの未来が平然と居間に上がりこめるという境界の曖昧さも、『バケモノの子』以上にだらしない設定であまりよろしくないと思う。

 終盤で主人公一家の歴史を辿るような展開になるのだけれども、このへんになってくると「なぜこの家族にだけ、この主人公にだけ、こういった特殊な現象が起こるのか」という、序盤からずっと抱いていた疑問がいよいよ大きくなってくる。あの家の庭(空間)あるいはそこに生えた木(物質)が媒介というわけでもなさそうなので、「作者の都合でこういうことが起きてるんだな」としか思われなくなる。どうもねえ。

 あと曾祖父の「かけっこで勝ったら結婚してくれ」の件、まあ作劇上の意図はよくわかるのですが、なんでかけっこなんだ……。