Narmy

15時17分、パリ行きのNarmyのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.8
列車テロの話であることは知っていたんだけど、実際の事件に記憶はなく、結末も特に知らないなかでの鑑賞。

所々に列車でのシーンが入りテロの緊迫感を演出するものの、ほとんどのシーンはアレク、スペンサー、アンソニーという3人のアメリカ人青年の出会いからテロまでの時間をあと追いする。

2005年、カリフォルニア州サクラメント、アレクとスペンサーは家族ぐるみのつきあい。
2人は中学進学前、キリスト教の学校に転校する。
そこで、もう1人、その後親友となるアンソニーと出会う。
アレクの祖父の影響か戦争に興味を持ちサバゲーを楽しむ3人、、、

人の人生には幾つもの出会いと幾つもの偶然、成長の過程においてその人だけの唯一無二の物語がある。
犯人に向きがちな視点を真逆の人物のみに向けるだけで、こんなに作品全体の雰囲気が違ったものになるのか👀

今作はびっくりするほどの長い前振りの中、私たちも導かれるように3人と出会い、3人の人となりを感じ、その列車に乗り込む。
全てのシーンがそのテロと向かいあった時の、なぜ?に明確に答えを出しているところが本当に凄い。

観はじめてすぐ、忘れかけていた最近の新幹線での事件が頭に浮かんだ。
訓練を受けた屈強な身体で対峙することに全く躊躇していないものでさえ、ある種何かに取り付かれたような犯人を取り押さえるのはかなりの困難なのだということ。

今作、最後の最後まで旅行の行程を迷っている青年達。
誰にでも何処にでもテロと出くわす可能性があるのだということ。
この作品と出会うことで、たくさんのメッセージを受け止めつつも危機意識ももっと持たなければいけないことに気付かされた。
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