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1987、ある闘いの真実のardantのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.9
私はこの物語が、政治信条とかに関係なく、若者たちの姿を描いて、非常に優れたものと感じる。
また、権力側の姿を一面的に描くのではなく、そちらの側にも捨てられていくものがいるということを描いて、物語に深みを与えたことも高く評価する。

この「靴」というちっぽけなものを媒介として物語を描く正しさは、これが実話であるとかに関係なく、描写力で確かに我々の心にとてつもない破壊力で襲いかかってきた。

そして、この作品を観ながら、昔、私でも少しは持っていたのかもしれない若者たちの熱い想いを思い出していた。
それは、今年DVDで一気に観る機会を得たテレビドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016,フジテレビ)で坂元裕二が描いた、都会の片隅でささやかでもいい、ちっぽけな幸せを求めて、必死になって生きる若者たちを観たときの感動と共通のものだった。

おそらく、本作品は、私の今年のベスト1になるだろう。
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