ゆうぴょん

トム・オブ・フィンランドのゆうぴょんのレビュー・感想・評価

トム・オブ・フィンランド(2017年製作の映画)
3.0
この時代って、色々大変だったんだなぁ。今も性的マイノリティを巡る諸問題って大変だけど、それにも増して苛烈。個人の自由な部分が法で制限されてるなんて。あるものを、無いかのように皆が口裏合わせるのは、やっぱり限界があるんだろう。
芸術に対するエネルギーだとか創作意欲とかって、一皮剥けばドロドロのぐちゃぐちゃな欲望が渦巻いてるってのが、作中で示唆されていて、面白かった。エロスとリビドー。戦争兵の死体、警棒を振るう暴力的な警官の姿⋯きっかけはそんなものだったのが、段々と昇華されていく。なるほど、まさに昇って華になるのか。
ともすれば、ただのゲイポルノだけれど、その裏にはそれを描きとどめようとした人の思いみたいなものがあって、そこを掘り下げた映画として描けたのは、今の時代だからこそなのかなという気がした。表されたものの裏には、それがどんなものであれ、人が居るんだってことを、センセーショナルな、イロモノと見られがちな題材に流されずに、しっかり描いている映画だなぁと思った。
最近、世界が蓋をしてきた題材(性を扱うビジネスや、マイノリティを対象とした市場)が、メジャーな規模の映画で取り上げられるようになった気がする。
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