さすらいの旅人

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

3.9
究極の緊張感映画。酔いもさめる面白さ。CATV/WOWOWブラス録画視聴。

飲酒して映画を観ることはあまりないが、本作はどうしても観たくて鑑賞。
当然酒のせいで、途中で寝ちゃうことも想定した。
「どうせ録画だから、寝たらまた見ればいいよ」という悪魔のささやきもあったし(笑)。
ところが、前作同様の圧倒的な緊張感と圧迫感の連続で、一睡もせず観てしまった。

前作は麻薬組織のせん滅のため派遣された女性FBI捜査官の無法状態での苦悩を描いた傑作だった。また、途中からベニチオ・デル・トロ演じる凄腕コロンビア人捜査官の物語になったのも印象深かった。
続編である本作は、何とデル・トロ主演の映画になっていた。
テロ組織に通じるメキシコの麻薬カルテルのせん滅が今回のミッションだ。今回はカルテルの麻薬王の娘の誘拐を指示される。

暴力的で情け無用の世界は、常に死臭ただよう無法地帯だ。その中で、デル・トロは誘拐した16歳の少女と危険地帯を国境に向けて脱出する。そのロードムービー的脱出は、今までに存在しえなかった人間性に富んだ物語として成立しているのが面白い。デル・トロは彼女に対して愛情を感じているし、彼女は徐々に信頼を感じているのだ。殺伐とした世界に垣間見るヒューマニズムは、本作ではオアシス的と言える。

最後に一言。
独特の世界観と面白さは前作同様であったが、ご都合主義又は禁じ手のシーンがあったのは残念であった。ラストに向かう重要なシーンであることは理解できるが…。