Inagaquilala

マルクス・エンゲルスのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)
3.4
歴史上の人物であるカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの若き日の交流を描いた作品。ふたりは協同して、のちに「共産党宣言」を執筆するのだが、それに至るまでの軌跡がたどられる。過激な言動でドイツ政府から追われ、パリに逃れたマルクスは、そこでイギリスで工場経営に携わるエンゲルスと出会う。当時、数々の論客が彼らの前に現れるのだが、ふたりは科学的社会主義の立場から、志を共有していく。物語が「共産党宣言」執筆の時点で終わっているので、その後のドラマは語られることはないのだが、そのあたりは、やや中途半端な感じも受けた。

かなり期待して劇場に足を運んだのだが、描写がわりと淡々としていて、歴史的事実を律儀にトレースしているようにも受け取れた。もう少し、マルクスとエンゲルスの人間的な深みに探りを入れてもよかったのではないかと思った。一方で、工場経営者というブルジョワジーでもあるエンゲルスの存在を、マルクスの対極に置くかたちで、ふたりの人物像を掘り下げてもよかったのではないかと感じた。やや世界史に刻まれた巨星に遠慮したのか。また、当時の社会的背景についての説明も、もう少し欲しかった気もする。やや、全般的に作品には没入できなかった。
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