旅するランナー

マルクス・エンゲルスの旅するランナーのレビュー・感想・評価

マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)
4.2
【思想史におけるレノン・マッカートニー】

若きカール・マルクスとフリードリヒ・ エンゲルス。
お互いを尊敬し、高め合い、思想史に革命を起こしていく。
マルクスは「革命は歴史の動力源である」と言っている。
資本家たちに喧嘩を吹っ掛け続ける二人の威勢のよさが心地よい。
60年代のロック変革期を象徴し、金持ちの没落を歌う、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」が引用されているのも頷ける。

二人の天才の出会いと化学反応が生み出す変革という意味では、音楽史における革命家レノン・マッカートニーが、まず思い浮かぶ。
この映画の邦題「マルクス・エンゲルス」は、ここを意識しているのだろうか。
レノン・マッカートニーにも「レボリューション」って曲があるもんね。

いくら生誕200年記念とは言え、今どきマルクスもないだろう、ケインズですら古いんだからと思っていたが、これが案外面白い。
一周か二周か分からないけど、グルっと回って新しい。
新たなブルジョワジー対プロレタリアの時代を向かえているように感じる現代への革命の必要性を呼び起こす知的な刺激を与えてくれる。
ついでに、「ファントム・スレッド」で毒女を演じていた、ヴィッキー・クリープスが良妻賢母才女になっているのも凄い変革だ。