acco224

君が君で君だのacco224のネタバレレビュー・内容・結末

君が君で君だ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「姫を守る」という大義のもと、「姫」の部屋の向かいに部屋を借りて、名前も捨て、「姫」の好きな尾崎豊、ブラッド ピッド、坂本龍馬として生きることにした男たち三人。「姫」に干渉しないルールの下、「姫」の部屋を覗き、盗聴し、盗み撮りし、ゴミを漁り、同じタイミングで、食事、トイレをする生活(しかも10年間も)。
龍馬は首を鎖で部屋の中に繋がれてるのに、3人してワイワイ「姫」を守って楽しそう。一生懸命覗きをやって競ってラーメンすすり、トイレに駆け込むの笑っちゃう。狂ってるけど。

いや、何を見せられてるんだろうか私は…(笑)

「宮本から君へ」で池松壮亮を観て、心臓鷲掴みにされて、余韻から抜け出せないがために、この作品を観てみることにしたわけで、
絶対勝てっこない相手に喧嘩を売って、愛なんてエゴだ、エゴだと自分でも分かっててもそれでも、愛だと叫ぶ宮本を観て
「愛とは何ぞや?」となってる私に、さらに「愛とは何ぞや?」映画でした。

池松壮亮のおかげですっかり愛に迷う33歳、主婦(笑)

もうね、宗教なのよ。狭くて暗い部屋に、儀式をして入国して、「姫」を崇めて、出会ったときもらったタオルに向かって変な踊りで祈りを捧げて…って。
愛って宗教?

干渉しないことをルールとして、「姫」が夢を見失って風俗嬢になり、だんだんと堕ちていく姿も「それも可愛い」と受け入れ続ける。「姫」最大のピンチさえ。
変わっていくことを受け入れ続ける愛。彼女のその時、その時の気持ちを汲み続ける愛。

愛するもののためならなんでもやってやる、というなら、池松壮亮の映画への愛は、紛うことなき「愛」。
女物の下着で踊り、髪の毛も砂まみれのひまわりも食べてたもん。
でも狂気の中にふっと正気が、寂しさが見え隠れする。セリフを言いながらポロッと涙が伝ったりする。綺麗、池松壮亮。

国が解体されると、今までのそれが夢だったかのように「普通」に戻るんだけど、狂気と正気はそんな簡単にひっくり返るってことなんだろうか。「名前」がキーワードなのかな?

そう。空港シーンの妄想、昂って涙が…
あんなに名前を宣言しただけで、こみ上げるとはー!
ボクはシムラです。シムラミツオです!!

なんだか書いても書いても書き足りない映画…
池松くんのことばっかり書いてるけど、みんな振り切れてて、とても面白かったです。
acco224

acco224