このレビューはネタバレを含みます
前作の「三度目の殺人」からまたグッと家族テーマに戻った是枝作品
相変わらず、丁寧な演出と役者陣のアンサンブルが際立っていたのは言わずもがな。
是枝作品の常連である樹木希林は
なんか顔の輪郭や、話し方が変わったなぁ
と思っていたら、なんと入れ歯を外しての演技!
樹木希林の女優魂、すごい!!
そりゃ貧乏家族の設定なんだから入れ歯が入ってるのはおかしいもんね。
前半はとてもコミカルで笑えて、
中盤で泣かせて、
後半でグッとシリアスになる。
そういう構成なので、家族の色んな面を見せてくれている。
事実、家族というのは人間の色んな側面を見せる舞台として機能している。
例えばリリーフランキーは、夫であり、お父さんであり、おじさんでもある。
家族の中だけで見ても、人には色んな側面があるもんだ。
そういう当たり前の事をハッと気付かせてくれる是枝さん
今作は集大成と言われていて、
監督自身そう言われるのは嫌がってるが(これがキャリアの最後だと思われるからね)
ただ集大成と言われるのもわかる。
リリーフランキーを軸とする家族は「そして父になる」の形だし、
家の中ではお婆ちゃんを軸としてるのが「海よりもまだ深く」的だし
後半の尋問シーンは初期の「ワンダフルライフ」を思い出させる。
正面にカメラを置くところなんかまんま。
是枝作品って、最近のは特に、押し付けがましくなくていい。
この万引き家族を良いとか悪いとか、そういう風にジャッジしない所が品があっていいな、ってつくづく思う。