sss

PERFECT DAYSのsssのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます



まず「パターソン」のようなルーティンフェチ映画として
そのルーティンが心地良い

毎朝
同じホウキの音で目が覚め
同じように布団を畳み
同じ自販機で同じコーヒーを買う

車に乗り込んで鍵を差してから
コーヒーを一飲みして
エンジンをかける
(ここの順番重要!)

毎朝がこのルーティン

同じ場所で昼間の休憩を取り
同じ様で決して同じでない木を見つめ写真を撮る

同じ銭湯で湯に浸かり
同じ店で夕飯を食べる

寝る前に読書をして
1日を終える

この毎日のルーティンを見ているのが気持ちいい

監督も言ってるように
彼はきっと裕福な家で育ち
成功したビジネスマンになり
充分な収入もあったけど
それらは彼を満足させなかった

ターニングポイントがあって
今の彼の質素な生活に辿り着いたのだろうけど
そこを描かずにその後を描いてるのが好き
大抵の映画はその後を描かないから。

ルーティンフェチに加えて
文学や60-70年代の音楽の文化性がこの映画の魅力で
カセットで音楽を聴きたい気分になるし
Amazonで実用的な本を買わずに
古本屋で目に止まった本を1週間かけて読む
ゆったりした生活をしたい気分になる

ただシンプルな生活であれば平山の生活が羨ましいとは思わないけど
この文化的な趣味を嗜みとして楽しんでるところが平山の人間的な厚さを出してて
この人の生き方が好きって思える

⚪︎×ゲームの最後が
「Thank you!」の一言メッセージだったのも凄く良いし
そのゲーム相手が現れないところも好き

毎日同じルーティンだけど
その中に少しずつ変化があって
昼休憩で見る草木と同じように
毎日少しずつ違う
禅みたい映画だった

金髪少女がカセットテープを気に入ってくれたのが嬉しいし
彼女が頬にキスをした時の平山の驚いた表情も好き
その後、銭湯のお風呂でブクブクしてる平山も可愛くて好き

姪っ子と自転車を漕いで
この世界にはいろんな世界があって
それが交わらないこともあるって話すシーンでは
隅田川の橋
その隔たりを示すロケーションが
セリフを情景でも表していて素晴らしかった

ラストでNina Simone のfeeling goodがかかった時は本当に最高の気分になったし
その時の役所広司の表情がたまらなかった
あそこの表情の演技でカンヌ主演男優賞がを決定付けたなと思った

一点だけ、エンディングにうるさい自分の意見
Feeling good の曲がフェードアウトするのと同時に暗転してエンドロールに行くけど
あそこはfeeling good がかかってる途中でエンドロールに入ってくれたら
くーーーーっ!最高だぁぁぁ!ベストエンディング賞だぁぁぁ!ってなってたので
そこだけ修正してブルーレイ化してほしいなと思いました

今年ベストの映画でした
まだ今年一本しか観てないけど。


以下、小話
・平山という名前は小津安二郎「東京物語」の主人公の名前からとった。共同脚本と高崎さんのアイディア
・ユニクロとTOTOが東京のユニークな建築トイレにフォーカスした短編を作ってくれないかと監督に話を持ちかけたところから始まり、脚本書き始めたら長編になったらしい
sss

sss