トランスマスター

万引き家族のトランスマスターのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
超ハイクオリティ邦画

都内荒川区の古びた昭和の雰囲気漂う平屋が舞台。貧乏家族がおばあちゃんの年金と、母親のクリーニング工場と親子のチームプレーの万引きで生計を立てる一家に虐待されていた少女が加わるお話です。

◆良い点/注目ポイント
・樹木希林の神がかった演技と、リリーフランキーの社会的にクズなのに、家庭でのコミュニケーションは理想の父親、安藤サクラのブスにも色っぽくもなる振れ幅、松岡 茉優の目の保養など全体のエンタメバランスが取れています。
・家の調度品などが本当にリアル。庭に植物が多い、部屋の中に物が多い、生活雑貨に使用感がある。舞台となっている場所の行動範囲が、電車の路線に沿っているところも忠実。乗り換えのない範囲で、電車賃も最小限に抑えられています。
・最初人物相関図についての説明がなく話が進んでいくところがポイントです。
・日本でも発展途上国のスラムのような住環境で暮らしてる人がいることを世界に発信しています。
・劇中に私が8年間働いていた前の職場が登場して、びっくり!
過去に漫画『闇○ウシジマくん』の背景に自宅が描かれた時以来の衝撃です。
・昭和テイストの駄菓子屋兼タバコ屋の下町情緒あふれる雰囲気が良い。できればもんじゃ焼きの鉄板と、立って遊ぶアーケードゲームの筐体にチェリオのプラケースを逆さにして座布団を括り付けた椅子があるともっとベター。

◆改善点
・ここまで貧困なら生活保護はどうなのか考えたら、持ち家のためダメでした。しかしなぜ家を処分しないのかの理由付けが欲しいところ。
・隅田川の花火のシーンは縁側で音だけを楽しまず、音はライブで映像はTVの生中継を見るはずです。
・濡れ場シーンが無ければ家族で楽しめる作品なのに残念。家族で見るとお茶の間が、凍りつきますのでご注意を!

◆総括
・映画らしい暗い感じの映像、大げさすぎない演技をしない(+ボソボソ小声でしゃべらない。)、BGMや主題歌にJ-POPを流さない。
邦画のヒット作の王道作品でした。

-2019年58本目-