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北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイのbowzZのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

いかなるバンドでも、北朝鮮でロックすることは不可能。ロックとは元々、大人への反抗とか反体制への若者のエネルギーが生んだもの。
北朝鮮のような強力な独裁国家で、反体制など叫べるわけもなく、また許すわけもない。(このライバッハという旧ユーゴのバンドがどういうバンドかは知らないが)
案の定、当初の予定は検閲によって次々に骨抜きにされていく。結局披露できたパフォーマンスは妥協の産物でしかなかった。
これ、そうなる過程を映したドキュメンタリーだよね。

また北朝鮮の国民にはロック音楽自体に馴染みがないから、たとえこのバンドが普段通りの演奏や演出が出来ても、そうウケはしなかったであろう。
モランボン楽団の方がよほどウケがいいだろうね、心底から。
ロックは資本主義や民主主義や自由主義などの中から生まれた音楽だし、それらを知らない国民なのだ。

それで観客は平壌の住民であろうけど、ここに住めるのは体制に従順なエリート層だけというから余計である。
むしろ地方にある政治犯収容所で慰問ライブする方が、よほど受け入れられるんでないの?不可能だろうけど。

じゃあ何で行ったのか。監督が自ら言っているけど、ノルウェー人の冒険家精神、未踏の地に一番最初に旗を打ち建てたい欲求。それ以上でも以下でもなかったのではなかろうか。
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