misty

ゲッベルスと私のmistyのレビュー・感想・評価

ゲッベルスと私(2016年製作の映画)
4.5
アーカイブとしてとても貴重な作品。103歳にしてこんなに明晰に話せる方、かつゲッベルスの秘書であった方なんて出会えただけでもラッキーすぎる。凄まじく良いカメラで撮られた、皺や眼鏡の細かい傷、その奥の視線の揺れ、言葉だけでも十分なのに、非言語の情報も物凄い映画だった。

原題『a German life』本当に、あの時代にどこにでもいたほんの個人、ふつうの人だったんだろうなと思う。あの体制からは誰も逃げられない、現代の若者だろうと無理、そうなのか…と聞いてから、そうなのか?と考える、のがずっと続く。私たちは渦中にいたと語るけど、大なり小なり常に何かの渦中では

途中に挟まれる、未公開の記録映像たちほんま、後半のやつは夢に見る…ゲットーに転がってる死体を手押し車に乗せて運ぶけど途中でぐらついて死体が泥の混じった水溜まりに落ちて横にいた人が「あー待って待って落ちた」みたいに手押し車を止めてた映像やばすぎてむり 小麦の袋かよと…

しかもこの記録映像、連合軍の告発映像かと思ったらドイツ側のプロパガンダで「ユダヤ人は死体すらろくに管理できずに道端に転がしてるんですよダメすぎん?」アピール用だったらしく(パンフレットより)なんでそういう理屈になる?!?!?!と開いた口が塞がらない…意味がわからない…

本当に知らずにいられるもんなのか、いや知ろうと思えば情報は集められるでしょとか、でも自分だったらこの人が言うみたいに自分の生活とお金のことを最優先にするかもな、実際政治のことは遠い彼方の人々がうすらぼんやりやってる程度にしか思ってないしな、渦中、そうです私だってきっと渦中ですよ…と反省した映画だった。
misty

misty