スティーブ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのスティーブのレビュー・感想・評価

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ありし日のハリウッドを舞台に、落ち目の役者とスタントマンを描いた映画。

傑作。実のところタランティーノがずっと苦手だった。『パルプ・フィクション』『レザボアドッグス』あたりを初めて観たときの感想は、時系列がごちゃごちゃしてるのはいいんだけど、はたしてこれが奏功しているのかよくわかんないし、意味ありげなだけでその実すっからかんな映画じゃね?というのが嘘偽りない正直なところだった。いよいよその印象に拍車をかけたのが大流行りした『キル・ビル』で、いやまあ楽しくなくはねーけどさ、っていう。まあ今にして思えば出会った時期がよくなくて、もっと早く、それこそ十代で見ていればその後のタランティーノ感も違ったのかもなあ、とか。そんな感じで、タランティーノにはどうも苦手意識が拭えなかった。これまでは。
そこに来て本作である。いや、やられた。まずもうルックから雰囲気まで、すばらしい。主役二人のキャラと関係は、レオとブラピの化学反応がやばすぎて、もうずっと二人でしゃべっててくれないかな、と思ったぐらい。ストーリーもいい。ぶっちゃけ大したことは起こらず、彼らがハリウッドであれやこれやをあーだこーだとやっていく日常が描かれる。にもかかわらず、惹きつけられるし、目が離せない。引き込まれる。もうそれらだけで満点を上げたくなる。何も起こらない日常を最高におもしろく描ければそれが最強だ、を地で行った作品がここにあるじゃねえか! そして最後のクライマックスの大暴れ!
シャロン・テート事件は不勉強にして知らなかったけど、それでも最高に楽しめた一作だった。『イングロリアス・バスターズ』も見てみようと思ったけど、どうしてアマプラで配信されてないのよおー!