エーコ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのエーコのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

俳優とスタントマンはそれぞれ、映画にとっての嘘の暴力と本当の暴力を寓意している。演技とアクションというべきか。元々西部劇が撮影されていたハリウッドの牧場にマンソンファミリーが潜り込み、テレビで嘘の暴力を見て育った彼らは、やがて本当の暴力をハリウッドに向けるようになるが、それを映画における暴力の体現者たるスタントマンがぶちのめす。そして、やはりというか俳優にも冗談のような見せ場が残されている。

単なる時代風俗であるかのようにベトナム戦争のニュースがインサートされるが、これもヒッピーとの関わりで本作の暴力にまつわる構図を複雑にしているのだろう。

以上、シャロン・テート事件の救済とは別に、映画と暴力の関係があからさまに寓意的に描かれており、この作品に「映画愛」という言葉を投げかけていいのか不安になる。BGMが盛り上がるほど、非人間中心的なカメラの寒々しさとのアンマッチを感じた。

正直、これだけ最近の事件を扱いながら、結末を史実と変えることには抵抗を覚える。

事件のあと、何も知らず生存したシャロン・テートとの会話はインターホン越しになっている。
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