KATO

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのKATOのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

最高だった。めちゃくちゃ面白くて、3時間なんてあっという間。いつの間にか、少し懐かしい香りのする街に自分が溶け込んでいく感覚。

誰にだってピークというものはある。ピークを日常にできてしまえば、毎日上がっていくだけなのだろうけれどそれだって難しい。
「昔はよかった」なんていう、大人たちが情けなく見えるのは、そんな大人たちの悲しみとか諦めとか、若い世代への少しの羨望がにじんでいるから。鼻で笑いたくなっちゃうんだろうな。
あがくことは罪かといったら、それはNOだと思うし、そう思いたい。酒で誤魔化しながら、やりたい仕事だと言い聞かせてする仕事だってあることは、少しずつ分かりかけてきた。
そして、無慈悲な展開が、自分の予想もしないところから飛んでくることも。ラストの13分、これは監督が願っていた結末だったのだろうか。監督というよりも、あの事件を知っている人間、みんなが望む結末かな。
こんなタフな男たちが近所に住んでいて、ボッコボコにしてくれていたら……世界は大きく違っていたかもしれない。
「むかしむかし……」
というのは、おとぎ話を始めるときの合言葉みたいなもの。そんな合言葉が冠されたこの映画は、本当におとぎ話のようなもので、たくさんの人たちの願いが込められているのかもしれない。
個人的には、中年男性のバディものってだけで滾ってしまう。
誰かとの関係を続けるには、お互いに努めることが大切。低い声で、無敵に笑うブラピにそのことを教えられた。
**
ディカプリオから漂う情けなさ。いけるいける、と親友に言い聞かせてもらいながら臨む仕事は、どれもやられ役ばかりで、きっとピークにいた若い彼が想像していた生活とは全く違う。いつもどっしりと構えているイメージだったから、なんだか新鮮。相も変わらず、美しすぎるブルーの瞳に、青年期の彼の面影を見つけて、個人的に切なくなってしまった(今のディカプリオだって素敵だけれど)。
親友を支え続ける男はブラピ。……はまり役すぎない? ひょいひょいと屋根に上ったのはもちろんスタントマンだと思うのだけれど、衰えない成熟した筋肉にドキドキする。そんへんに漂っていて、掴めそうなのにそばにいてくれなさそうな空気感がとてもあっている。ブラピ、うまいんだなぁ……なんて、今更ながら思ってしまった。低い声でぼそぼそ、と話しているのも、片方だけ上がる口角も役の雰囲気にピッタリだ。
シャロン・テート役のマーゴットは魅力が前回だった。こんなにキュートなマーゴット、久しぶりな気がする。きっと、テート自身も魅力にあふれた人だったのだろうと想像させる、そんな演技だった。
ブラピに色目を使っていたガールの手足の長さよ……。彼女もキュートで、チャーミングで。これからがとても楽しみな女優の一人だ。
**
怒られるのを承知で言うと、前作『ヘイトフルエイト』は苦手だった。鑑賞した年齢も年齢だったし、あの頃に比べて映画の好みも確実に変わってきている。
本作は私にとっては、大ヒット!映画史を勉強しなおして、ぜひまた観たい映画の一つになった。なにせ、ブラピがカッコよすぎるしな。
KATO

KATO