ノラネコの呑んで観るシネマ

男と女、モントーク岬でのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

男と女、モントーク岬で(2017年製作の映画)
3.9
嘗て愛し合った男女が、数十年ぶりに再会して焼け木杭に火がつく。
ただ、その意味は二人の間で全く違っている。
ドイツ人小説家のマックスは、訪れたNYで元恋人のレベッカを探し当てるのだが、彼女は彼を二人の思い出の地、モントーク岬への小旅行へ誘う。
お話の展開そのものはむっちゃありきたりなので、前半はやや退屈。
が、二人がモントーク岬へ向かい、お互いに対する想いの違いが明らかになってくると俄然面白くなる。
マックスが朗読会で語る「やって後悔するか、やらずに後悔するか」がキーだ。
マックスと別れた後、人生をかけた本当の恋を経験した彼女にとって、再会は本当に焼け木杭。
懐かしさから燃え上がるが、所詮昔やって後悔した恋。
それに対して、彼女の気持ちに向き合わず、あちこちに女を作ってきたマックスにとっては、やらずに後悔した恋。
レベッカからしたら自分がとっくに過去の人なのに気づかず、プロポーズしちゃうマックスが痛い。
しかも事実婚の妻がいるのに。
同じ思い出も、その後の人生によって意味が違ってくる。
過去を現在にすることは出来ないという、男目線では切ない寓話だった。