スカポンタンバイク

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

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色々悩んだ結果、やはり今の私には採点できないなとなってしまった。

単にノレたかノレなかったかって話でいえば、私はあまりノレなかったのだが、ガーディアンズの完結編として「これで良かった」と思う所もある。
それはやっぱりジェームズ・ガン監督が作った三部作として、感慨深いものがあるし、ジェームズ・ガンだからこそのキャラクター一人一人に活躍の場を持たせる展開には相変わらず感心させられた。ジェームズ・ガン監督の作った三作目としては星5と言っても過言ではない。
しかし、一方で私は「それはジェームズ・ガンという大きなフィルターで無批判に受け取ってはいないか?」と感じてしまった。観た時からずっと思っていたのは、「この作品を、例えばジェームズ・ガン監督じゃない人が撮っていたとして、全く同じものができあがっていたなら、同じように評価していたのか?」という事だ。つまりは、「オリジネイターが作ったという、作家性を絶対視して肯定しているんじゃないか?」と考えてしまったのだ。
そこで冷静に考えると、今作は話が唐突で荒いと思う所がとにかく多かった。端的には時間が足りてないという事だと思う。
これは「ザ・スーサイド・スクワット」にも少しあった所で、上映時間の問題でキャラクターが単純化してしまっているのだ。それに比べて、スピンオフ作品の「ピースメーカー」はドラマの尺もあり、キャラクター一人一人に十分な時間をかける事ができていた。
この二作と比べてどうだったかというと、今回のガーディアンズ3はこれら2つの方向性が中途半端に混ざった感じになっていた。ロケットに振られてる話が「ピースメーカー」ボリュームで、それ以外のキャラクターが「ザ・スーサイド・スクワット」なボリュームになっており、ロケットの話としてはディテールも細かく面白いのだが、他キャラクターは展開が振られる以上でも以下でもない。そのため、最後のキャラクターたちの決断がどうも上手く繋がらない。しかし、これをスターロードの物語、ロケットの物語という、ある1人の「自分の帰る場所を求めて宇宙を漂流する話」とした時、この三部作は一貫して十分上手くいってると言えると思う。それはジェームズ・ガン監督の作家性から生まれたものだと思うし、それ故に他に上手くいっていない所が出てきている事に、簡単に不評とはできない。勿論、簡単に絶賛ともできないわけですが。
絶賛評の気持ちはどれも理解できるし、その通りなんだと思う。このモヤモヤを解消するには、まだ時間がかかりそうである。