ジェイD

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のジェイDのレビュー・感想・評価

4.6
あんなにデコボコだった逸れものたちがこの様な形でフィナーレを迎えることができてとにかく感無量。良かった…よかった…という思いでいっぱい、笑って泣いてハラハラして、最後は笑顔でお別れだ!な銀河の守護者たちのラストバトル。

多くの試練を乗り越え、惑星ノーウェアの復興も済みつつあったガーディアンズ。しかしある日、金色の戦士アダムの襲来によりロケットが重傷を負ってしまう。彼を救う鍵はその過去にあり、大切な仲間のためにガーディアンズは最凶の完璧主義者との対決を余儀なくされる…。

MCUの中でも異質中の異質なGotGの完結作。もはや立派なジェームズ・ガン映画なわけで、余計なクロスオーバーは無し。「へ〜ェィル♪」で始まった愉快な仲間たちがそれぞれの運命と向き合い、この10年弱の物語に決着をつける。

軸としては序盤で昏睡状態に陥ったロケットを救うべく旅をするガーディアンズと、改造を施される壮絶な日々を生き延びたロケットの過去を交互に描くストーリー。いつも通りのハチャメチャをやらかしながら真相に迫ることでより一層仲間を思いやるチームワークの強さを感じる。いくつもの惑星を行き来するのでヴィジュアルも楽しいし、クスッと笑える会話も健在。

対してロケットの過去はあまりにもツラい、もはや泣けなかった、絶句。吐き気を催す邪悪とでも形容しようか、今回のヴィランであるハイ・エヴォリューショナリー。争いのない完璧な世界を作るという名目のもと、動物の強制進化実験と改造を行うという某ケモノアニメ(?)の黎明卿とどっこいなことをするMCU屈指のゲス。このゲスによって体を変えられ続けたロケットの境遇を思うと過去作のセリフも違って聞こえる。

完璧を目指すゲスに対する欠点だらけのガーディアンズはまさに最高のカウンター。たしかにマーベルヒーローはそらみんな色々あるけど、特にコイツらは肝入りなわけで。不器用で無愛想なネビュラ、フワフワしてるマンティス、脳筋アホのドラッグス、デッカい木のグルート、そしてかつて家族の思いに背を向け続けていたピーター…。でも彼らはそんなありのままを認め合うことでゲラゲラ笑いながら共にささやかな幸せを見つけ合っていた。欠点があることは悪いことじゃない、あってあたりまえ。改めて愛おしい奴らだなぁ…。

そして今作のラストはもう一歩、「ありのままの自分になる」ことを考えていたように思える。そもそも今の自分がありのままでないからこそ人はありのままを探すのであって、でもってじゃあどうしたらありのままを定義づけるのか。まずは今までの過去、自分の運命と向き合うことからなのかもしれない。1人の人間として人生を考え直してみること、たとえその末にずっと一緒にいた人ともう会えないとしても。彼ららしくパァッと明るくもちょっぴりビターなラストは、笑顔でボロ泣きするにはピッタシな美しさがある。

一作目のグルートのように、やはり観客である俺たちを巻き込んでくれるGotG。今作はもちろんガーディアンズ、ロケット、銀河に生きるあらゆる生き物の物語だが、「あなたの物語」でもある。どんな人だって楽しんで生きていいんだ。たしかに1作目は凄かったけどさ、vol.3によって"ガーディアンズシリーズ"は総じて傑作になったなぁと思えた。愛してるぜ、クソガーディアンズ。
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