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クリード 炎の宿敵のSY3KRのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.5
期待のルーキー、スティーブン・ケイプル・ジュニア監督が手がけたスポ根ドラマ。大ヒットを飛ばした『クリード チャンプを継ぐ男』の続編にあたる。

とにかく目を惹くのは鍛えに鍛えまくったアドニスの肉体だ。敵役のヴィクターを演じたフロリアン・ムンテアヌはプロボクサーなのでもとより尋常ではない体つきだが、マイケル・B・ジョーダンも負けてはいない。前半と後半の試合でまるで異なる体の仕上がりを見せており、その役者魂には度肝を抜かれた。

ストーリー自体は少年ジャンプ的な王道の展開で捻りはないものの、アポロとドラゴの息子が戦うというだけで自然と気持ちは高揚してしまう。往年のファンにとって、これ以上の興奮をくれる物語はないだろう。アドニス、ヴィクター、ロッキー、イワン、4人の主人公全員の人生を感動的に描き切った脚本も素晴らしい。

地元フィラデルフィアの英雄となり、家庭にも恵まれ全てを手にしたアドニスと、何一つ失うもののないヴィクターは常に対比的に描かれていく。アドニスがリングに立つ理由を「自らの存在証明」に求める一方で、ヴィクターは故国のため・父親の復讐のためにリングに立ち続け、自分を押し殺す。あまりにも悲劇的なキャラクター付けのヴィクターだが、それゆえ何よりも欲しかった父親の愛を手に入れるシーンは号泣必至だ。

本作を通して、ロッキーの長い長い旅路もようやく1つの終わりを迎えた。シルベスター・スタローンは『大脱走』も『エクスペンダブルズ』も終わる終わる詐欺で引き際がヘタクソな印象が強いが、『ロッキー』に関しては潔くここで身を引いてほしいものである。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:83%
・観客支持率 :80%
「本作はフランチャイズの定型に忠実であるため、大きなサプライズはほとんどない続編だが、世代を超えた伝統的なテーマは相変わらず強烈なパンチを見舞っている。」
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