真田ピロシキ

クリード 炎の宿敵の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
3.3
ソ連の殺人マシーン ドラゴの息子が対戦相手と聞いた時に少し嫌な予感がした。何せこの映画の主人公がアポロの息子でロッキーの弟子という二世キャラなわけじゃないですか。それで対戦相手まで二世キャラにされると親世代のクローンじみたキャラクターが同じような行動を繰り返すキン肉マン二世のような話になるんじゃないかと危惧したわけです。

本作でドラゴ息子に挑戦上を突きつけられた新王者アドニスは親父の因縁を焚き付けられたかのように闘い実質的に敗北。ロッキーの「やめとけ。俺はセコンドにも立たんぞ」という言葉を無視して親世代の代理戦争に臨むアドニスはちっとも好ましく見えないし、ドラゴ息子はこれまた親父よろしく人格を感じられないマシーンなのでこの辺までは面白くない。でもそっから、完膚なきまでに叩きのめされて自信喪失したアドニスが娘の誕生を経て自分の誇りのためにロッキーとも和解し再戦に臨む姿。ここにはアポロだのロッキーだなんて色眼鏡のない1人の王者がいて、前対戦時には体格の差で全然勝ち目があると思えなかったアドニスが勝てそうなだけの風格を持たせられていた。雰囲気でなんとなく勝たせただけでなく勝因には梶原一騎の劇画にでも出てきそうなボクシング虎の穴が一応生きてて、あの足だけお互いタイヤに入れて殴り合うやつは最高に良い効果を発揮したのだろう。そんなんで最先端のトレーニングしてる相手に勝てるのかって話はまぁロッキーってこんなノリだった気がするので楽しんだもの勝ちです。

この映画の関連作であるロッキー4は大昔に見たきりなのでソ連の殺人マシーンという言葉のインパクト以外はよく覚えていないのだがWikipediaであらすじ見てみるとかなりオマージュしている模様。結構面白い映画ではあったけれどまだ続けるならそろそろロッキーシリーズからの脱皮が必要に感じる。最初の試合におけるセコンドがアポロのトレーナーの息子だったのはアドニスが父の因縁に拘っている事の演出なのだろうけど、それにしてもこんなとこまで二世キャラかという思いがある。ロッキーの描写にもよく分からない点があって、息子と不仲になっていたのだが『ロッキーファイナル』でわだかまりは溶けていなかったっけ?自分的にはあの映画でロッキーのストーリーは綺麗に完結してるので、ロッキー出している限りこのシリーズは蛇足、よく出来たスピンオフという印象が拭えない。