TAK44マグナム

ヴィクター・クロウリー 史上最凶の怪人のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.8
ヤツが還ってきちゃった!!


アダム・グリーン監督が復帰した「ハチェット」シリーズ第四作!

呪われた沼地に足を踏み込んだ者は、誰一人として生きてかえってはこれない。
何故なら、殺人鬼ヴィクター・クロウリーにズタボロにされ、完膚なきまでにブチ殺されるから!

・・・というお話も、もう4度目ですよ。
ヴィクター役のケイン・ホッダーも演じたジェイソンが活躍する「13日の金曜日」シリーズだってクリスタルレイクキャンプ場に拘るのはやめて宇宙にまで進出したのに(でも最終的にはクリスタルレイクに帰還してビックリしましたが)、ヴィクターにかけられたブードゥーの呪いが地域限定なので、ヴィクターの活躍の場はあくまでも怪奇沼に限られているわけです。
なので、そこに知ってか知らずか集まってきた人々が無残にも肉片にされてしまうのをひたすら見せられるだけの映画が4つも作られている事になります。

普通ならさすがに飽きるでしょう。
作品のテンションも維持するのが難しいはず。
しかし!
相変わらずバカで面白いじゃないの!
確かに若干のパワーダウンは感じられますが、空いた時間にサクサクっと観られるスナック菓子みたいな映画なので、難しく考える必要は全くナシ!
残酷な人体破壊ショーを肉汁たっぷりのステーキでも頬張りながらカップルで鑑賞すれば、きっとその夜の営みも迫力満点、お互い頑張れることでしょう!
何故なら、生と死は背中合わせ。
人が理不尽にもバンバン殺される映画を観て肝っ玉が震えあがったところで、自らの生をセックスで実感できるからです!
ついでに性(欲)と精(力)も!

なんのこっちゃ!!


本シリーズは前作のラストから直結して始まるのが特徴でしたが、三作目から時間が空いたからか本作は前作の10年後から始まります。
怪奇沼唯一の生き残りであるパリー・シェンが事件を振り返った本を出版、大金に目が眩んで再び怪奇沼に赴くと大変な事態になるといったお話。
一作目からコメディ要素もあったシリーズですが、本作は更に磨きがかかった(?)ギャグで笑えたり、笑えなかったり。
くだらないギャグが多いので、くだけた感じが好みと反すると途端につまらなくなってしまう可能性があるのでお気をつけください。

呪いが解け消滅していたヴィクターが、いかにも現代的な要因によって復活!
例によって例の如く大惨殺大会を勝手気ままに始めたものだから、パニックに陥った人々は籠城したり逃げ回ったりと大忙し!
でも、結局はとっつかまってグチャグチャにされちゃうのDEATH!
飛行機の墜落が原因で5人ぐらい死んでしまうので、今回のヴィクターによるキルカウントは意外と少なめ。
更に、やたらめったらと無茶苦茶やってた二作目や三作目より殺し方もおとなしめなので(それでも普通のスラッシャーホラーからすれば十分に残酷ですが)、ヴィクターも大人になってしまったのか・・・と、少し切なくなってしまいました。
二作目のトニー・トッドの時みたいな大技・荒技を繰り出して欲しかったですね。
その点ではオープニングが一番気合いがはいっていたかな?
いきなりの首チョンパから始まって、四肢切断をじっくりと見せると最後も首チョンパで締めるという、道徳的にどうなのか疑わしきゴア描写がドイヒーで大変よろしいオープニングでした!

反対にクロージングがどうだというと、これまた120%トチ狂ってましたよ!
唐突にガーーン!と幕を下ろすのも「ハチェット」名物でありますが、一言、「クソッ!」と言い終えるかどうかのタイミングで終了!
なんとも見事な幕引きじゃないですか!

ちなみにエンドロール途中でもマーベル映画みたいにオマケがありまして、まだまだ続くのかよ!って感じで「あの人」が登場してました。
本編が終わったからといって、すぐにDVDを止めたりしたら、「ザ・プレデター」を観て感激したかもしれないヴィクターに首根っこを脊髄ごとぶっこ抜かれますよ〜!

あと気になったのは、もしかしてシリーズ史上で一番数多くハチェット=手斧を凶器に使ったんじゃないですかね?
「ハチェット」というタイトルなのに、今までそんなに肝心のハチェットを使っていなかったし。
だいたい、素手で簡単に首やら腕やらを捥いじゃってましたから凶器要らずだったんですよね。
何故か使ってもロングブレードチェーンソーだったり電動ヤスリだったりで。
ヴィクターも、ここにきてようやく自分の映画のタイトルが理解できたのかな?
でも、本作のタイトルは「ハチェット」じゃないんだけれども!


間違っても上品なホラーではありません。
バブル期の日本みたいにドッカンドッカン景気よく万札が飛び交っている「まな板ショー」みたいな
オゲレツ殺人鬼映画の決定版シリーズがまた観られるという喜び!
このヤバいという他ない喜びを噛み締められる好事家にターゲットを絞った、由緒正しいバカ映画だと思います。
山田洋次の映画しか観たことないような純朴なお婆ちゃんが観たら卒倒してしまうかもしれないので、間違っても高齢者や若年層がいる前での鑑賞は避けましょう!
悪いことは言いません、あなたの人生が狂ってしまいますよ!

そこでオススメなのは、二十代前半ぐらいのホッカホカなカップルがラブホで精力剤代わりに観るようなシチュエーションです。

「ヴィクターって意外と目がカワイイじゃん!」
「え〜?私と比べてどっちがカワイイのよ?」
「それはもちろん、君さ!」
「もう、あなたったら・・・好き♡」

・・・なんて、熱い夜のためにも是非、グチャグチャのゲボゲボでモゲモゲのドロドロ、ゲヒゲヒでビチャビチャな「ヴィクター・クロウリー」を枕元に推奨いたします!!


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