青二歳

殺陣師段平の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

殺陣師段平(1962年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

中村鴈治郎二世主演。マキノのリメイクらしいが、この鴈治郎の怪演を経てさらにリメイクしようとする愚者も居なかろうよ…こわいよ!
鴈治郎が小津の"浮草"で旅芸人一座の座長として昔ながらの芝居に徹した滑稽さ哀れさと被るが、その比ではない。
ややメロドラマ風なシナリオが入るあたり大映のサービス精神が悪い方向に出ちゃってるのが残念。それがなければ"浮草"を超える評価を受けて然るべきかと。

戦前から続く芸道モノというジャンルとして観ると、芸道に全生命をかける姿を描く点では王道。ただ、その狂気を美化させないところが素晴らしい。
鴈治郎演ずる段平はどこまでもどこまでも俗物(そして鴈治郎お得意の人たらし)。殺陣に対する情熱と自負が極めて見苦しく、そして何といっても"凡夫"という。
凡夫だから徹底して滑稽になる。その設定自体なかなか素晴らしいが、凡夫を演じ切る鴈治郎があってこそ。

脳梗塞の後遺症の演技は舞踏家も敵わない。やっぱり何観てもすごいよ鴈治郎…
市川雷蔵は助演レベルだが、国定忠治に月形半平太などお楽しみはチラホラ。
田中絹代が鴈治郎の嫁役。「髪結いの亭主は働かんもんと決まっとります、うちのひとは稼ぐ方でっせw」髪結いの亭主って万国共通時代を問わずヒモなんだな。
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