たいてぃー

生きてるだけで、愛。のたいてぃーのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.8
関根監督、「太陽の塔」での芸術的表現に感心したが、本作でも光る演出が多数あり。前半の自販機への頭突きや中盤でのパソコンでの窓ガラスぶち破り、そしてラスト近くの主人公の疾走、その後の屋上でのシーン等。
原作は本谷有希子。これは未読だが、以前に映画化された、「腑抜けどもよ、悲しみの愛を見せろ」は、大好きな作品。「腑抜け~」では、妙な理解しがたい女性が出てくるが、本作でもそんな女性が主人公。
この主人公、寧子役に趣里。本人はうつ病と言ってるが、気分変調症では?それとも単なる怠惰? そして、とにかく、よく眠る。過眠症か、やっぱり怠惰からか? 寧子のセリフで「あー、腹へったわ」というのがあった。これは共演してる松重豊の「孤独のグルメ」を意識してのことかな。
「私のこと、見抜かれてるみたい」印象強い寧子のセリフ。引きこもっていた寧子に同棲してる津奈木の元カノ安堂が現れ、働かせようとするが、そこでも上手くいかない。シャワートイレネタから、感情が爆発してしまう。でも、その後は吹っ切れた感満載で、街中を疾走する。こんなメンヘラと一言で片付けられない、多種多様な性質を持ち合わせている寧子。この難役を趣里がホント熱演。津奈木役の菅田将暉や安堂役の仲里依紗もいい演技だが、霞んで見えてしまうほど。
今年の日本映画の主演女優賞は、「万引き家族」で安藤サクラが席巻するだろうけど、小生は趣里に一票を投じたい。