現代的な価値観とはかけ離れた物語でありながら、とんでもないクオリティの衣装美術でその世界観に引きずり込む怪作。
（バーフバリ的な映画を期待して見ると肩透かしを食らうかもなのでご注意を。）
500年前から伝わるインドの歴史物語が原作との事で、登場人物の多くが武士道的な精神を持っており、命や損得よりも誇りを最重要視する王女達には、あまり感情移入出来なかった（一番共感できたのは己の欲望に忠実に生きるアラーウッディーンかもしれない）。
彼女らの考える「勝利」と、自分（現代人）の考える「勝利」には、隔たりがある。鑑賞後に複雑な感情を抱かせるクライマックスシーンは、この映画の見所の１つだ。
「インド映画史上最大級の製作費」の謳い文句に恥じない、赤や白を基調とした王女達の衣装、黒が印象的な悪役達の衣装がどちらも素晴らしかった（対してダチョウなどの動物がCG感バリバリだったのは惜しい所ではある）。
特にダンスシーンは圧巻の一言。ランヴィール・シン氏のダンスは、スマホで予告編を見た時は動きにくそうな服でキレッキレの踊りを披露していたのが少し可笑しかったのだが、映画館だと彼の眼力と、大画面を覆い尽くす「黒」の群舞に圧倒された。
兎にも角にも映像美がスッゴいので、是が非でも劇場で観るべき映画だと思う。
