私的に『渇き。』がダメだったんよね。中島監督の「俺、映画監督とかやってますけどニチャァ」って笑顔がスクリーン越しに伝わってくる感じがキツかった。
だから今作も全然期待しないでみたらクッッッソ面白くてたまげたなぁ(驚愕)
前作で感じたようなドヤ臭さは無いし、ちゃんとおもろいもん作ろうという気概が感じられていい。良い部分の「中島監督らしさ」も後半にぎっしり詰め込まれてお腹いっぱい丸
大量の流血と胡散臭いスペクタクルお祓いの描写は目に楽しいし、アトラクション的な娯楽性もあった。
独自の世界観を持っている監督が映画を撮る時は、これくらいスペクタクルな規模で作ったほうが、オナニー映画になってしまう可能性が減るんじゃないかなと、そんなことも思った。
新しいものを観たなという感じがすごい。古き良きJホラーといえば、ジメジメでカビ臭くてダニが100億匹くらいいそうな木造住宅で動きのとろい女がずりずりしてくるものだ。近年Jホラーも、ハリウッド産の「びっくり系ホラー」色が顕れてきているが、どれも絶妙に怖くない。びっくり系とJホラーの融合は、怖がらせようとしてるのに、むしろ笑えてしまうのだ。
でもこの映画は、なんかそれが成功してる。
笑えてしまうチグハグさも、逆に武器にするような大胆さがあった。
たぶん、エンタメ作品をつくるという大前提があって、その中で「ホラー」という一要素があるという作りになっていたからじゃないかな。
恐怖と娯楽性のバランスがとても良くて、ホラー映画にありがちなテンポロスもない。すべては「面白い」映画をつくるために。
恐怖要素を二の次にした『来る』に、Jホラーの新境地を見たような気がした。