新感覚の神経症的ホラー。後半の展開は脇に置いておいたとしても、そこに至るまでの、追い詰められた心理状態で見るビジョンの描写がとても良かった。
お兄ちゃんが取り返しのつかない出来事を起こしてからの精神的な錯乱状態。俺は同じ体験はしていないにしても、ああいうビジョンには覚えがあるし身につまされるものがあった。あの一連の映像はすごい。。
ユニークなんだけど、ワケがわからないんだけど面白い。ストーリーの予想不可能性の高さはすごいし、音による注意喚起、類例のない演出や描写など、否が応でも画面に惹きつけられてしまう。
自らが正常と信じる感覚がズレていることの恐ろしさという点では「ファーザー」や「反撥」を想起。
予測不可能で最後には理屈を超えたすごい境地まで連れていかれる感覚、作品自体に半端ないエネルギーが感じられるという意味で「TITANE」を思い起こしたり。
個人的には、神経症的なビジョンを最後まで突き通してほしかったところではある。終盤に行くほど荒唐無稽というか飛躍し過ぎな印象は抱いちゃった。
