史劇・伝記映画としてよく出来ている。ヒューマンドラマ的に盛り上げようとしない抑制の効いた作劇ながら、画面ごとシーンごとの情報量が多く濃密だし重厚。ノーランらしい演出の切れ味、テンポの良さもあって、時間を意識する間もない3時間だった。
原爆投下周りの表現はバランスが巧みだなと感じた。オッペンハイマー自身の悔恨の念は表現されていながらも、そこまで強調されないし、それが映画のムードを占めることもない。反省はしても深く傷つく気はないアメリカ人にとってちょうどいい塩梅なんだろうなと。。常に「そういうのを描く映画じゃないから」のフォローの余地があるしね。。
意図していたかはわからないけど、すごく巧みな立ち位置にある作品だと思う。
後半は密室の政治劇に終始してしまって、やや物足りない印象。原爆投下に絡むところは息を呑んで見ることになるものの、それ以外は感情的に迫られるものがないからね。。ストロースの話はそもそも面白い…?
