尾崎きみどり

ヘレディタリー/継承の尾崎きみどりのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.0
「ボーはおそれている」公開に当たってアリ·アスター監督作品を復習しているが、早くも挫けそう。考察しようとしても観ている内に出てくる感想が怖っ!と、めっちゃ怖っ!しかなくなった。もうね、終始眉毛がマイナビロゴのちいかわみたいな顔して観てた。
娘ちゃんの衝撃のアレシーン以降からもうあきません。お母さんの顔がどんどん歪んでいくので怖くて泣いちゃった。娘ちゃんの舌打ちの音ホンマやだ。トラウマになりそう。ミニチュアのフィギュアハウスが頻繁に出てくるので可愛いと思ったけど、何だか不穏な感じがイジー・トルンカやカレル・ゼマン当たりのチェコのアートアニメを思い出した。
家族の物語なので基本的に登場人物は家族4人。主人公とその旦那さんと息子くんと娘ちゃん。本質的に悪い人はいないのに皆酷い目に遭う。全然容赦ない。特に息子くんは本当に可哀想。
大体のホラー映画って酷い目に遭う人は何かしら瑕疵あるように設定されてる場合が多いけど、この映画全くそんな事ないのな。理不尽で唐突過ぎて嫌な意味でリアル。特に旦那さんは何でそんな事なったんってレベル。少なくとも旦那さんがいれば何とかなりそうなのに無慈悲過ぎるだろ。
主人公の境遇はかなり悲惨なので同情の念も湧きそうなものだが、挙動と顔芸で全ての感情が雲散霧消する。うっかり肩入れすると気持ちを持っていかれそうなので、彼女に関してはなるべく無の気持ちで観ました。それでも最後のセルフギコギコは止めてくれよって気分になった。
全体的に登場人物の追い詰められ方が凄い。しかも物語的に逃げられないよう念入りに出口を塞いでるのが悪趣味過ぎて逆に笑えた。息子くんもあれでは生きていると言えるかどうか…。
ただ完成度の高さにこれで長編第一作なの?ってなった。監督は天才かよ。
次はミッドサマーに再挑戦。(一応映画館で鑑賞済)
尾崎きみどり

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