いののん

家へ帰ろうのいののんのレビュー・感想・評価

家へ帰ろう(2017年製作の映画)
4.2
くそじじいなめんなよww!


残りの人生は短い。最後に、どうしても会いたい人がいる。渡したいものがある。アルゼンチンから故郷ポーランドへ。たどり着くまでがえらく大変なんだ。ドイツの地を踏むことは断固・絶対に・頑なに・拒否!!! 「ドイツ」だけでなく、「ポーランド」という言葉も絶対、口にしてなるものかっっっっ!!!


冒頭の孫との駆け引きからおもろくて、そして飛行機のなかのやりとりも笑えて、これは、強制収容所から生還できたユダヤ人の映画のなかでも、軽妙さをくわえた独自な映画になるかもしれないと期待した。それほど映画も観ていないので、独自な映画だったのかどうかはわからないけど、良質であたたかな映画だったと思う。優しくありたいと思う映画。


旅のなかで、この頑固じじいを助けたり寄り添ったりしたのは、女性たちだった。その女性たちが、本当にとてもいい。被害をうけた当事者から、自国の加害の歴史の一端を語られたとき、あるいは、なぜあなたの国を憎んでいるのかを語られたとき、あんな風に接することができたら。

頑固じじいも、黙って聴いてくれて、受け止めてくれた人がいたからこそ、語ることができたし、そして語ることで、凝り固まった心の塊を、ほぐすことができたんだと思う。ドイツ人の女性とのプラットホームでのやりとり、ポーランドでのステキな看護師さん等、本当にステキ。ラストもあたたかい。


わたしは、もっとお子ちゃまだったとき、自分の勉強の為にと訪れた旅先で、日本軍が行った戦時中の加害を語られたことがある。私は本で読んで、知識として知ってはいたけれど、実際にその国の人から偶然にも語られ、感情が高ぶって泣きじゃくってしまった。(語ったのはタクシーの運転手さん。運転手のおじさん、あの時交わした約束というか宣言というか、わたし、ちゃんと守っているんだよ!)今だったら、もっと静かに受け止められるかな。いや、そうなりたいし、そうならないと。主人公は私じゃない。泣いちゃだめ。


ただただ聴くこと、ただただ受け止めること、大事にしたい。


残念だったのは私の体調で、風邪薬飲んでったから途中ウトウトしてしまいました。
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